PoetryとRyeの比較と使い分け:Pythonプロジェクト管理の選択肢#
Pythonプロジェクトにおいて、依存管理やパッケージ公開を行うためのツールとして、長らく Poetry
が人気を集めてきました。しかし最近では、より高速かつシンプルな運用を可能とする Rye
という新しいツールが注目されています。
本記事では、PoetryとRyeの比較、およびRye特有の機能や設計思想について整理し、どのような状況で移行を検討すべきかをまとめます。
PoetryとRyeの基本機能の対応#
以下に、主な機能についてPoetryとRyeのコマンドを対応表として示します。
機能 |
Poetry |
Rye |
備考 |
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プロジェクト初期化 |
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対話形式はRyeの方が簡潔 |
依存追加 |
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依存削除 |
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ロックファイル作成・更新 |
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Ryeは |
パッケージインストール |
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スクリプト実行 |
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仮想環境シェル起動 |
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Pythonバージョン指定 |
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Ryeは |
パッケージ公開 |
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Rye特有の機能と利点#
RyeはPoetryに比べて、以下のような特有の特徴を持ちます。
Pythonバージョンの自前管理 :
rye pin 3.12
でそのバージョンを直接DLして使うため、pyenv
やasdf
は不要です。高速な依存解決 :
uv
を利用しており、Poetryより桁違いに高速です。シンプルな設計と統合CLI :
rye fmt
(フォーマット)、rye lint
(静的解析)、rye test
(テスト実行)など、開発で使う基本的な機能をすべて内包。自己更新コマンド :
rye self update
によりrye本体を常に最新状態に保つことができます。
導入判断の目安#
以下のような観点で、Ryeへの移行を検討するとよいでしょう。
判断基準 |
説明 |
---|---|
高速な依存解決が必要 |
大規模なプロジェクトやCIでの待ち時間短縮が狙える |
Pythonバージョンの切替を頻繁に行う |
Ryeの |
新規プロジェクトでシンプルに始めたい |
設定ファイルや構成が簡素 |
逆に、以下のような場合はPoetryの継続使用が現実的です。
判断基準 |
説明 |
---|---|
現在Poetryで安定運用中 |
無理に切り替える必要はない |
チームやCIがPoetry前提で設計されている |
スムーズな運用を優先 |
まとめ#
PoetryとRyeは似て非なるツールです。どちらもモダンなPython開発を支える優れた選択肢ですが、それぞれの特性を理解し、自身のプロジェクトのニーズに応じて使い分けることが重要です。
Ryeはまだ新しいツールですが、その軽快さと統一感は魅力的であり、今後の主流となる可能性もあります。まずは小規模な新規プロジェクトで試してみるのも良いアプローチでしょう。
記事情報
- 著者:
mtakagishi
- 投稿日:
2025-05-30